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ミルク/Milk

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もうずいぶん前からゲイの間で話題となっていた映画「ミルク/Milk」

シドニーでも、明日1月29日からの公開です!

で、実は2週間前に見てきました!

特別先行上映!

「パレス/PALACE」というアート系の映画を上映する映画館チェーンがあって、そこの会員向けのイベント。

もともと、このパレスのオックスフォードにある映画館は、マルディグラの映画祭の会場でもあって、ゲイにとってもお馴染みの映画館!

友達がこの会員で、彼がチケットを手配してくれました!

なんと11ドル!

シドニーの映画代もジリジリと値上げをして、今はシアターにもよるけど約16ドル!

それが11ドル!しかも、絶対見に行こうと決めていた「ミルク/Milk」!ってことで、速攻でお願いしました!

チケットの方は完売で、当日、会場にはぎっしりゲイの方々が…って思ったら、意外とストレートの人が多く、この映画が一般の人にも高い関心を持たれていることがうかがい知れます。

で、映画。




1970年のニューヨークで、ミルクがスコットと出会うところから始まる。その後、2人はサンフランシスコへと移り住み、カストロで小さなカメラ店をオープンする。

そこは、次第にゲイの溜まり場となり、ミルクは差別されているゲイのために代弁者となり活動を始める…

ゲイにとって厳しい時代で、69年のニューヨークでのストーン・ウォール事件を経て、70年代に入り、次第にゲイの人権を求める動きが活発になっていく中、その時代に求められるように政治に参加していくミルク。

そしてついに、ゲイであることを公言し、当選した初めての政治家となったミルク。その彼の半生を描く伝記ドラマ。

とにかく前評判は抜群で、こちらでオバさんたちから抜群の信頼を得ている映画評論家のデイビットは最高の5つ星をつけ、アカデミー賞でも、作品・監督・主演男優・助演男優・脚本など8部門でもノミネートされている。

が、自分はそこまでではなっかた…

実は、10代のころ見たドキュメンタリー「ハーヴェイ・ミルク/The Times of Harvey Milk)」が衝撃的で、その後、フランシスコのカストロまでも行ってしまったほどの影響を受けたので、その感動と比べたら、そこまでではなかった、ってのが感想。

とにかくまだゲイで悩んでいた自分に、「ゲイ」って堂々と宣言して、しかも政治に参加しているミルクを見て、計り知れない勇気をもらった。

別に、次の日から「俺はゲイだっ!」ってカミング・アウトする、ってのではなく、そういう人間がいた、ってだけで気分はずいぶん楽になった。

さらに、あのキャンドルで通りが光の川のようになっている画像をみて、こんなに多くのゲイの人がいるんだっ!って。

物語ではなく、ドキュメンタリーだったことで、より真実味があって、ミルクという名は、しっかり心に刻み込まれた。

なので、このドキュメンタリーの影響が強かったので、それを超えるものはなかった。

でも、自分がこの映画を悩める10代に見たなら、かなり違ったものになっていたと思う。そういう意味で、この映画が大きな話題となり世界中で上映されて、多くの若い悩めるゲイに勇気を与えてくれるのを期待している。

さらに、カリフォルニア州の住民投票で否決された同性結婚。

新たな希望、オバマ大統領の「同性愛者も…」の感動的なスピーチ。そのリベラルなオバマ候補に投票したカリフォルニアの人たちが、同性結婚に対しては「NO」と言った事実。

黒人はOKだけど、ゲイはNGなのか?

時代は変わったと言われるが、本質的な部分はどうなのか?

この映画「ミルク」の中で、同性愛者であることで、学校の先生をクビにできる条例を否決することに尽力するミルクの姿を見ることができるが、その状況は今のカリフォルニアの状況に被るものがある。

この映画が、そういった状況を変えるものでもあって欲しい。


あと、映画でちょっと不満だったのは、ミルクの過去が一切描かれていないこと。

もともと彼は政治家としての資質を持っていたのか?誰かの影響を受けているのか?

会話で「自分は40になっても、何もしてこなかった…」みたいな台詞があるけど、それにしても、40を過ぎていきなり政治家へ!ってもの「何んで?」って感じ。

でも、監督のガス・ヴァン・サントはゲイで、よくゲイの間で生い立ちとか、ゲイを意識した瞬間とか、聞かれたり、喋ったりしてたけど、さすがに歳をとってくると、もう言い飽きた!聞き飽きた!って感じで、そんなことより、今なにしてるの?って方が重要。ふと、監督も、今更過去のことなんかは興味ない!ってバッサリ切っちゃったのかな?って。

で、アカデミー賞で主演男優賞にノミネートのショーン・ペン。

ま、熱演です!

政治家って、いい人だけでは務まらない世界。ちょっと毒があって、でもユーモアもしっかりあって、人を引きつける何かが必要。

その辺りは、ゲイ特有のビッチな部分もチラチラさせ、なかなかうまく演じています。

ミルク/Milk_a0030752_11482239.jpgでも、一番だったのは恋人役のジェームズ・フランコ!そう「スパイダーマン」の親友ハリーね。

彼のショーン・ペンを見つめる目つきとか、カワイイ!

個人的に今「70年代の男」ってマイ・ブームだから、彼のファションとか、髪型、それにモミアゲと髭!かなりキテます!

絶対、助演男優賞は、ダン・ホワイト議員を演じたジョシュ・ブローリンじゃなくて、ジェームズ・フランコがノミネートされるべき!

他には、あのショーン・ペン監督でマイ・ベスト・フィルムの1つ「イントゥ・ザ・ワイルド」や、最近では「スピードレーサー」のエミール・ハーシュが、まったく違ったイメージで出演してるのにも、びっくり!

って、総じてストレートが演じるゲイなんだけど、みんな演技がうまく「変に強調されたゲイっぽさ」を感じることなく見られました。

日本での公開はゴールデン・ウィークですが、その前にアカデミー賞をいっぱい受賞して、日本でも多くの人に見に行って欲しいです。

で、時間があれば、84年のアカデミー賞で最優秀長編記録映画賞を受賞した「ハーヴェイ・ミルク/The Times of Harvey Milk)」も、レンタル屋さんで探してみてください。今回の映画「ミルク」ではテロップですまされている裁判のこととかも、入っています!

自分も、友達からDVDを借りて近日中に、再度、観賞予定です!(衝撃度は忘れないけど、このドキュメンタリー映画はほとんどの部分を忘れているので)

また、見たら感想をアップします!

by funnyfelix | 2009-01-28 11:47 | movie